認定看護師とは特に高度な医療分野において専門的な知識を持ち、高い水準の看護ができることを認められたいわば看護のスペシャリストのことを言います。現在では救急看護、皮膚・排泄ケア、緩和ケア、透析看護など21の分野があり、認定看護師になるには、一定の実務経験を持った看護師が専門の教育機関を修了して資格試験に合格する必要があります。
2013年10月現在、認定看護師の資格をもつ人は全国で1万2000人を越えています。分野としては皮膚・排泄ケア、感染管理、緩和ケア、がん化学療法看護の登録者数が多い一方、慢性呼吸器疾患看護や不妊症看護、小児救急看護といった分野では登録者数が少なく、今後の認定看護師の増加が期待されます。
ここで、主な都道府県別に認定看護師の数を見てみることにしましょう。
【都道府県別認定看護師数 (総数)】
東京都 1504
神奈川県 953
大阪府 944
愛知県 685
兵庫県 562
福岡県 526
徳島県 67
佐賀県 75
高知県 80
宮崎県 80
鳥取県 81
秋田県 88
(出典:都道府県別認定看護師数 2013年10月現在 公益社団法人日本看護協会)
認定看護師もやはり高度な医療を行う大規模病院の多い都会に多く、地方ほど少ないのが分かります。ただし、これは単に大きな病院が都会に多いのでそれに比例しているだけ、というわけではありません。認定看護師の数が違うことの裏には都会と地方での医療現場の差が影響しているのです。
認定看護師になるには先程のように専門の教育を受けなければなりません。そうすると当然、認定看護師を目指す看護師が勉強に行っている間は職場から人が抜けてしまうことになります。そのため、勉強のために人員が抜けても何とかなるようなバックアップ体勢がしっかりしている病院でなければ認定看護師を出せないことになってしまうのです。
都会の病院であれば臨時で看護師を採用したり、院内で看護師をやりくりすることも比較的容易ですが、ただでさえ看護師が不足している地方の病院ではそういうわけにもいかず、認定看護師になりたいと思っている看護師がいてもなかなか勉強に出せない状態です。仮に何人かを行かせるとしても、5人が希望しているところを2人だけしか認められないといったこともあります。また、認定看護師の教育機関も多くが東京や大阪などの都会に集中しており、勉強に通いやすい場所に住んでいる都会の看護師とは違い、地方の看護師は求人を探し都会まで出てきてそこに住む場所を借りる所から始めなくてはなりません。
このように、高度な医療に携わる認定看護師の数に都会と地方とで差があることについても実は地方での看護師不足が大きく影響しているのです。認定看護師になりたいという意欲を持った地方の看護師が安心して教育を受けに行けるような体制づくりも今後必要な課題だと言えます。